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モンスター社員への対処法をいくら調べてもうまくいかないのは、上司のあなたが「部下との関係を壊さずに相手を変える方法」を求めているから。

今回は、自分本位で身勝手な行動を繰り返す、いわゆる「モンスター社員」の問題で困っている管理職の方に向けて記事を書きます。

普段、管理職の方から受ける相談の中で最も多いのが、「部下の問題への対応方法」です。

部下の問題といっても、メンタルヘルス問題で体調を崩している人への対応方法であったり、パワハラや迷惑的な行為で職場の秩序を乱す人への対応であったり様々ですが、管理職の困り度が最も高いのがモンスター社員の問題です。

今回、私が普段相談を受けていて感じる、モンスター社員を抱える職場の「本質的な問題」について、率直にお伝えしようと思います。

身勝手で指導が難しい社員を抱える職場の役職者や人事担当者の方には、必ず読んでほしい内容です。

まず、ある管理職の方の相談を紹介します。


なんとか、部下を変えるいいやり方はありませんか?

本当に一人の部下の問題に困っています。

自分の都合が悪いことは色んなことを理由に拒否するし、気に入らないことがあるとすぐに感情的になるし、周りを巻き込んで悪口を言うし。

同じ係の若い子たちもけっこう被害にあっていて、その内の一人は「来年度もあの人と同じ係なら退職したい」と言っています。

かなり本気で、それだけ嫌なんだと思います。一体どう対応したらいいものか、悩ましくて。

注意ですか?はい、何度かしてみましたけど、すぐにムキになってしまって話ができないんです。

結局何も変わらないんですよ。あんまり強く言って追い込むのもよくないなと思っていて。

ネットで色々と対応方法などを調べて実践しました。「じっくりと本人の気持ちに寄り添って話を聞いてあげると有効」と書いてあったので、本人の気持ちに耳を傾けて、寄り添って対応したけどダメです。

傾聴と共感ですかね。ダメです。あとは、アサーションも良いと聴いたので、試してみたけどダメでした。


どうにもできません。どういえば彼はわかってくれますかね?

忙しい管理職にとって、自分勝手な行動を繰り返す部下の問題は、本当に悩ましく苦しい問題です。

特に今は人手不足の職場も増えていますから、「ただでさえ人が少ないのに、モンスター社員まで抱えてしまった」「注意したいけど、それで辞められてしまったらそれはそれで人が足りなくて苦しい」など、強い葛藤を抱えることになると思います。

このような問題で私のところに相談にお越しになる管理職の方は、皆さんとても優しくて部下思いの方が多い印象があります。

みんなに気持ちよく働いてほしいし、辞めてほしくない。少しでも良い職場環境にしたい。

あなたも、そんな思いで今日も働いているのだと思います。

今日はそんな管理職の方が、「困った部下への対応」を考える上で、最初に整理してほしい、とても大切なことをお伝えしようと思います。


多くの管理職が、「部下との関係を壊さずに相手を変える」魔法のテクニックを求めている。

「なんとか、いい方法はありませんか?」「どんなことを言えばいいですか?」

多くの管理職や人事担当者の方の相談を受けていて、最近私が特に強く思うことがあります。

それは、多くの人が、「部下との関係に摩擦が生じる対応をとることをとにかく嫌がる」傾向にあるということです。

言い方を変えれば、私に対して、「部下との関係を壊さずに相手を変える」魔法のテクニックを教えてもらうことを求めているのです。

例えば、私が「それなら一度きちんと注意した方がいいですよ。職場として改善してほしいことを明確に伝えましょう」と助言をしても、「それを言って怒ってしまいませんか?」「余計に私に不信感を募らせてしまいませんかね?」など、やたらとその時の部下の反応や、その後の関係性を気にして躊躇する。

私からは「部下にとって都合の悪い注意をして、そこで部下が不満を表明するなら、その時は次の対応をとりましょう」とその後の対応方法も助言するのですが、もうその時点でとても不安そうな顔をしてしまいます。

つまり、「部下との関係に摩擦が生じる可能性がある対応」そのものが、本来私に望んでいたアドバイスではないわけなんですよね。

確かに、働く上で部下との関係が良好であるに越したことはありません。

お気持ちはとても理解できるし、こちらもできるだけ期待に沿えるように対応したいと思っています。

ただし、これだけは断言できます。

「どんな相手に対しても摩擦を一切生じさせずに問題を解決するような魔法のテクニック」なんて、存在しません。

相手にとって都合の悪いことを伝えるということは、当然ながら多少の摩擦が生じる可能性はあり、それを恐れていてはいつまでも問題が解決しないのです。

それだけではない。そんなあなたのスタンスが、より部下の問題行動を助長し、職場を混乱に陥れます。

だから私はあなたにはっきりと伝えたいです。

もしあなたが本気で部下の行動を変えたいと思うなら、まず変わるべきは、職場であるということを、肝に銘じてください。


人間関係の三本柱で整理する。

今、あなたが部下の行動を正したいという気もちがある一方で、部下との関係を気にして対応することを躊躇しているなら、まず取り組むべきことは、「部下への対応」ではなく「職場としてのスタンスの整理」です。

あなたが何を優先して行動していきたいのか、役職者として、会社としてどうすべきなのか、これから紹介する「人間関係の三本柱」を切り口にして徹底して考えてみましょう。

① 目的(部下にどうなってほしいのか)

② 人間関係(部下とどんな関係でいたいのか)

③ 自尊心(役職者としてどんな対応をすれば後悔しないか。会社としてどうありたいか)

あなたが困っている部下の問題についてどうしたいのか、この三つそれぞれに回答していきます。

まず①と②を埋めてみます。以下は、あくまでも例文です。

① 目的 「自分の都合の悪いことを言われるとすぐにムキになって反抗的な態度をとることをやめてほしい。もっと協調性をもって働いてほしい」

② 人間関係 「もめたくない。いい関係でいたい。人手不足だから、関係が悪くなって辞められるのは困る」

ここで多くの人が望むことは、人間関係を円滑に保ったままで目的を達成することです。

それ自体は当然のことですし、それに越したことはありません。

だから、部下の気持ちに配慮しながら、言葉を選んで改善を求めるんですよね。

これで上手くいけばいいのですが、きっとあなたが頭を悩ませている部下は、それが相当に困難な相手なのではないでしょうか。

あなたの指摘に耳を傾けず、問題をすり替えたり、感情的になったり。

だからあなたがよりはっきりと注意して改善を求めれば、明らかに人間関係に摩擦が生じることが予想されます。

ここで、管理職が試されるわけです。

つまり、「人間関係」が壊れることを恐れ、関係を良好に保つことを優先すれば、あなたはいつまでも「目的」を達成することができなくなり、部下の問題行動はどんどんエスカレートしていきます。

加えて、初めは「大変ですね」なんてあなたに同情的だった他の部下も、やがて身勝手な社員を野放しにする管理職に不信感や敵意を頂くようになる。

その結果、あなたの「自尊心」はどんどん低下していき、何の解決もできない自分を惨めに感じやすくなります。

また、「目的」さえ達成できれば「人間関係」が壊れようがどうなろうが何でもいい!という考えも危険です。

コミュニケーションが一方的になり、部下との関係が悪くなるのは当然として、パワハラなどのトラブルになりかねません。

結果として、周囲から距離を置かれて孤立し「自尊心」は低下していきます。

つまり、「目的」と「人間関係」、どちらかに偏りすぎると職場のモラルが低下していきます。

だからこそあなたにとっても、会社にとっても大切なのが「自尊心」なのです。


会社にとっての「自尊心」とは?

あなたが役職者として、どんな対応をすれば後悔しないか

どんな自分でありたいか

会社として、どうありたいか

従業員に対して、またお客様に対して、どんな会社であるべきか

職場として、どこまで部下の問題を許容できるか。

それが「自尊心」です。

「職場としてのプライド」と言い換えても良いと思います。

これが明確であれば、あなたが部下にどう対応するべきか、その答えも明らかになるはずです。

「人手不足だから今彼女に退職されたら本当に困る。でも、いくらなんでもうちの職場でこれ以上見過ごすことはできない。例え関係が壊れようが、結果として退職になろうが、伝えるべきことは伝えて明確に改善を求めよう」

このように、職場としての確固たるスタンスを持ち、部下の問題に対する「限界設定」ができている職場は、比較的スムーズに対応をすることができます。

そういう職場の管理職の方は、私が助言するとすぐに対応するし、部下との関係が一時的にこじれても他の管理職や人事などと協力し合って乗り切ります。

会社として本気で対応するパワーと覚悟があるのです。

逆に、この「限界設定」が全くできずに、部下との関係だけを優先してなあなあな対応に終始している会社は、無法地帯になりモラルがどんどん低下していきます。

人間関係は常に悪く、強者と弱者にはっきり分かれ、派閥ができ、離職や健康問題などのトラブルが絶えません。

そこで働く多くの人の自尊心が低下し、存在意義を失い、惨めな思いで仕事をするようになります。

管理職同士の足並みも揃わず、十分なコミュニケーションがとれていません。

実際に、あなたが部下との人間関係を優先せざるを得ない理由として、「部下と揉めた場合にあなたを守ってくれる人が誰もいないから」ということはないでしょうか。

自分が孤立することがわかっていると、部下に本気で関われないのも仕方がないことかなと思います。

だから、「部下との関係を壊さずに相手を変える方法」を求めてしまいますよね。

私はいつも言うのですが、「モンスター社員は職場の鏡」です。

モンスター社員と向き合うことは、職場の課題と向き合うことであり、そこと向き合う覚悟がないと解決に向かうことが難しいのです。

もしあなたがモンスター社員の問題と、そして職場の課題と本気で向き合っていきたい、と思うのであれば、まずは当方の「手を焼く社員にもう振り回されない!モンスター社員対応セミナー」の動画を見て頂くことを強くお勧めしたいです。

このセミナーを受講することで、モンスター社員が発生する職場環境の課題、そして具体的な対応方法をマスターすることができます。

ぜひ、あなたの職場環境の改善の初めの一歩として、ご利用いただけるととても嬉しいです。

お申し込み・お問い合わせ、いつでもお待ちしております。

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公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。講師としての経験も豊富で、企業や公的機関において15年以上に渡り、メンタルヘルス、ハラスメント、コミュニケーションなどをテーマに講演を行っている。
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