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社員の問題行動への基本的な対応方法とは | 3つのステップで指導の手順を解説。

モンスター社員、パワーハラスメント、何度指導しても仕事の仕方が変わらないなど、社員の問題行動で頭を悩ませる管理職や人事担当者の方はとても多いことでしょう。

「もういい加減にしてほしい」「いっそのこと辞めてもらえたら楽なんですが…」なんていう話はよく伺いますが、職場の本音としては、退職ではなく「行動を改めてまじめに働いてもらう」に越したことはないはずです。

だからこそ様々な方法で本人に働きかけを行うわけですが、どんなに対話を重ねて、あれこれ対応を工夫してみても、それでもうまくいかないことは多々あります。

今回のブログでは、そんな社員の問題行動への対処で今日も頭を悩ませている管理職の方や人事担当者の方に向けて、まず知るべき基本的な対応を、3つのステップで説明します。

ぜひ読んで基本を押さえ、対応に生かしていきましょう。

※ブログ執筆者 AIDERS 代表 山﨑正徳のプロフィールは こちら


3つのステップで理解する

まず、社員の問題行動への基本対応は次の流れで進めます。

① 改善してほしい客観的事実をリストアップする。
② 面談して改善を求める。
③ 定期的に面談を行い、行動が改善しているかを評価する。

ここから、ひとつずつ解説していきます。


① 改善してほしい客観的事実をリストアップする。

✔ 自分の意見は言わないで、なんでも上司に相談して判断をさせようとする。
✔ 人の話を最後まで聞かないしメモをとらない。結果、大きなミスをして顧客を怒らせ担当を交代した。
✔ この3か月で、立場の弱い後輩に掃除当番などの面倒な仕事を5回押し付けた。

このように、改善が必要な部下の言動をリストアップしましょう。

ポイントは、「主観」ではなく「客観的事実」であることです。

例えば、「仕事の仕方がいい加減だ」と感じるのは上司の主観ですよね。リストアップしてほしいのは、上司にとって「いい加減だ」と感じる部下の行動です。

「話を最後まで聞かない」「報告書を棚にしまわずにデスクに放置する」といった行動(客観的事実)がそれになります。


② 面談して改善を求める。

①でリストアップした問題行動について、面談して改善を求めます。
改善を求める際のポイントは次の通りです。

▶ 「してほしくないこと」よりも「してほしいこと」を伝える。

「なんでもかんでも私に意見を求めるのはやめてください」
  「私に意見を求める前に、必ず自分の意見を言うようにしてください

「感情的になるのはやめてください」
 → 「仕事中は感情的にならず、落ち着いて穏やかに話をしてください」

このように、「してほしいくないこと」ではなく「してほしいこと」を伝えます。

「してほしくないこと」を伝えられると、部下は責められているように感じやすくなります。

「してほしいこと」を伝えれば部下も指導を受け入れやすいことに加えて、行動改善のイメージが明確になります。

▶ 指示は「抽象的」ではなく「具体的」に。

「意識が低いんだよね。主体性をもって働いてよ」
  「私に意見を求める前に、必ず自分の意見を言うようにしてください

「やる気が感じられないよ。もっと真面目にやりなよ」
 → 「私から仕事を教わる時は、必ずメモをとって聞くようにしてください」

抽象的な指示では、部下は何をどう改善すべきなのかよくわかりません。

また、もともと相手の意図を組むことが苦手な人にとって、抽象的な指示は混乱の元で、更なるトラブルにもつながりかねません。

管理職が「してほしいこと」を「具体的に」伝える。

これを意識してください。


③ 定期的に面談を行い、行動が改善しているかを評価する。

「部下に指導して、その場では『わかりました』と言ったんです。でも、良かったのは初めの一週間くらいで、すぐに元に戻りました」

こんな話をよく聞きますが、たった一度の指導で終えてしまうことに問題があると思います。

社員に指導したら、経過観察期間を設けて定期的に面談をし、行動が改善しているかを評価することが大切です。

「では、2週間後にまた面談しましょう。それまでに行動がどれだけ改善されているか、こちらでも見ておきますね」

このように伝えます。

経過観察期間は、1~4週間くらいで、問題の深刻度や緊急性により判断してください。

周囲の社員からもヒヤリングして情報を集めておくことが大切です。


面談は2対1がお勧め。

問題行動の改善を求めるような大切な面談は、こちら側は二人で対応することをお勧めします。

理由は次の通りです。

① 「言った言わない」のトラブルになることを防ぐ。

② 問題行動を指摘した際に「そんなことやっていません」と否定されづらい。

③ 面談で感情的なトラブルになることを防ぐ。

④ 指導担当者の負担を減らす。

⑤ 何よりも二人の方が心強い。

注意点としては、当然ですがこちらが二人で対応することは、相手にとって脅威を感じやすいシチュエーションと言えます。

相手を脅かすようなコミュニケーションは慎み、「落ち着いて穏やかに」対応しましょう。


大切なのは、「あなたと一緒に働きたい」という思いを伝えること。

ここまで、指導の基本的な手順を説明しました。

最後にお伝えしたいことですが、問題社員への対応の際に最も大切なのは「相手の人間性を尊重すること」です。

面談は部下を追い込むための場ではなく、一緒に働いていくためのコミュニケーションの場であることを忘れず、その気持ちが十分に伝わるように言葉をかけましょう。

また、部下の問題行動の背景に、メンタルヘルス問題などが存在する可能性もあります。

「感情的な言動を改善してほしいと思っていますが、そのことで困っていることはありませんか?」

「体調が悪いとか、仕事が多くて感情のコントロールが難しいとか、もし困っていることがあれば遠慮なく言ってください。職場としても改善のために可能な限り協力したいと思っています」

このようなイメージで声をかけ、率直に話ができる関係を築くことが大切です。

健康問題や精神的な不調、人間関係、家族問題での悩みなどが認められたら、産業医面談やカウンセリングを受けさせるなど、専門家を活用しましょう。

専門家につなぐ対応については、以下のブログ記事で詳しく解説しています。
※関連記事:ラインケアって何をするの?部下のメンタル不調に気づき、介入するための「3つのステップ」

実際に対応してみて、困る場面などがありましたら当方にいつでもご相談ください。

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公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。講師としての経験も豊富で、企業や公的機関において15年以上に渡り、メンタルヘルス、ハラスメント、コミュニケーションなどをテーマに講演を行っている。
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