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リストカットをする社員に慌てず対応できる!職場がとるべきパターン別対応方法。


リストカットは、「ストレスを緩和するための行為」

良くないとはわかっているんですけどね。どうしても仕事でイライラすると、飲みすぎちゃうんですよ。いつもはビール2~3本でやめているんですけど、特に社長からきつく言われた時は、飲まないと眠れないくらい辛いんです。先週もビールを3本飲んだ後、ワインを1本空けてしまい、さすがに妻に叱られました。

この3か月くらい、出張が増えてビジネスホテルに泊まることが増えました。出張自体もとてもストレスなんですけど、ビジネスホテルでの生活も本当に辛くて。ストレスを解消できなくて、それで、寝る前にスナック菓子を大量に食べる習慣がついてしまいました。良くないとはわかっているんですけど、気持ちをリセットするためには食べないとダメなんです。でも、お菓子ばかり食べるから体調は悪いし、体重は増えるしで、本当に困っています。

この前、久々に実家に帰って一泊したんです。でも、相変わらず両親は喧嘩してるし、母親はここぞとばかりに父親の文句を私にずっと言ってくるしで、本当に最悪でした。辛くて悲しくて、その日は親が寝静まるのを待ってから、こっそりリストカットしちゃいました。どうしてもやらないと気が済まなくて。やっぱり実家に帰っちゃいけないですね。


ケース①「部下のリストカットの傷跡を目撃してしまいました…」

実はこの前、職場のトイレで部下のリストカットの傷跡を目撃してしまったんです。いつも長袖を着ているので気づかなかったんですけど、たまたま袖をまくっているところに遭遇しました。左腕に複数の傷があって、びっくりしちゃって…。

その子は、私に見られたことはおそらく気づいていないと思います。特に慌ててる様子もなくて、その後も普通です。仕事は全く問題なくて、体調が悪いとか、精神科に通院しているとかは聞いたこともありません。いつも明るくてまじめな子なんですよ。

これって、このままで大丈夫なんですかね?上司として、私は何か対応する必要があるんでしょうか。困っていることがあるなら助けてあげたいし、でも彼女は傷跡を隠したいわけですから、このまま知らないことにしてあげるべきなんじゃないかと思って…。私なら隠し通したいですしね。

どうしたらいいでしょうか…


原則は「業務を行う上で支障がある問題」を扱う。


「リストカットの傷跡を隠していること」で、業務に及ぼす影響とは?


ケース②「傷跡がはっきり見える状態で働いている部下がいます」

中途採用で半年前に入社した社員なんですが、リストカットの傷跡が複数あるんですよ。長袖の季節はわからなかったんですけど、半袖になってからはっきり見えるんです。過去の傷ばかりですけど、二か月前に新しい傷跡ができました。ちょうどその時、彼女の担当する仕事でミスが続いたので、リーダーが細かく点検するようになったんですね。

彼女は物静かであまり自分の話をしない子です。とはいえ、仕事に必要なコミュニケーションは取れるし、忘年会にもちゃんと来てました。ミスも一時期よりは減りましたが、波がありますね。

それにしても、あの傷跡はちょっと…。うちの職場では今までこんなことはなかったから、彼女が半袖になってから、みんな恐る恐る接していますよ。リーダーも「ミスを指摘して傷が増えたら怖い」「あの傷跡では来客の案内にも出せない」と言っています。部門長として彼女と話をしてみようと思いますが、どういう対応が適切なのでしょうか…


「傷跡が見えている」ことで支障を及ぼす業務上の問題は何か。


「服務の問題」の改善を切り口に、メンタルヘルス問題へのアプローチを行う。

傷跡について、ずっと心配していました。私の印象では、ちょうどミスが増えてリーダーの点検が始まった時に新しい傷ができたように感じるんだけど、やはりストレスになりましたか?

困っている問題があれば改善できるように協力したいから、どんなことでも話してもらえないかな。


「傷跡を隠してくれたので、それで良しとして大丈夫ですか?」

彼女と面談して、その翌日から傷跡を隠してくれるようになりました。リストカットについては、どうも前の職場の時にストレスで始まって、それが癖になっているようです。傷跡を隠さないことについては、前の職場では注意されなかったらしいんですよ。それで大丈夫だと思っていたようで。「配慮が足りなかった」と謝罪されました。

メンタルヘルス問題については色々と聞いてみたんですけど「ストレスが溜まった時に切ってしまうだけなので大丈夫です」「ミスの指摘も普通にしてください」とのことでした。心配は心配ですけど、まあ本人が大丈夫だと言っているし、傷跡は隠してくれたし。確かにミスも減りましたしね。ひとまずこれで良しとして大丈夫ですかね。

今回は「服務の問題」を改善してもらうことが目的でしたので、この状況であればひとまず良しとして大丈夫でしょう。

あとは見守って、「困った時には相談してもらえる関係」を構築していければベストです。

今回は「服務の問題」でしたが、今後ミスが増えてきたときには、ミスを切り口に対応していくことになります。

その時もラインケアって何をするの?部下のメンタル不調に気づき、介入するための「3つのステップ」を参考に対応してください。


ケース③「仕事中にリストカットをしてしまう部下がいます!」

部下の一人が、仕事中にリストカットしてしまうようになりました。3か月前、急にパニックになって泣き出して、トイレにこもって出てこないのです。出てきてからゆっくり話したら、トイレでリストカットをしたと言うので、驚きました。

仕事はそこまで忙しいわけではないんです。彼女は抱え込みやすいところがあるので、元からうまくいかないとパニックになりやすいというか。仕事のストレスと、あとは同居している親との関係でも悩んでいるようで、そういうのが重なってのことらしいんですよ。

たった一度だけのことなら仕方ないんですけど、それから何度か同じようなことが続いているんです。精神科にはだいぶ前にかかったことがあるようなんですけど、先生がちゃんと話を聞いてくれなくてイヤになったとか、そんなことを言っています。別のところを受診するように伝えましたが、気が進まないようで。

それから、なんとかリストカットしないように気を遣って仕事を振っているので大変です。一昨日は朝から顔色が悪くて、声をかけたら「今日は切ってしまうかもしれません」と。その日の会議で議事録を頼もうと思ってたんですけど、仕方がないので他のメンバーに頼みました。

どうやってリストカットを防ぐべきかと思ってまして。声掛けや話の聞き方とか、本人の負担を減らす関わり方を教えてもらえませんか?


産業保健スタッフや精神科などの専門家につなぐ。


どうやってリストカットを防ぐべきかと思ってまして。声掛けや話の聞き方とか、本人の負担を減らす関わり方を教えてもらえませんか?


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公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。講師としての経験も豊富で、企業や公的機関において15年以上に渡り、メンタルヘルス、ハラスメント、コミュニケーションなどをテーマに講演を行っている。
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