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職場の喧嘩を上司のあなたが「仲裁しよう」としているから、いつまでも問題が解決せずに繰り返すんですよ。

職場での人間関係のもつれは、労働者にとってストレスの強い悩ましい問題です。

ましてや社員同士が激しい口論になり、職場の空気が一変するような喧嘩が起きた場合、そこで働く人たちはもちろん、対応に追われる管理職の負担は相当なものと思います。

実際、このブログ記事は「職場の喧嘩 仲裁」というワードで検索した方にとても多く読まれてきましたから、毎日のようにどこかの職場で喧嘩が起き、仲裁に奔走している管理職がいるということです。

もしあなたも仲裁の方法を知りたくてこのブログに辿り着いたようであれば、まず知っていただきたいことがあります。
それは、職場の喧嘩を仲裁しても、それは一時しのぎにしかすぎません。

むしろ、管理職が喧嘩を仲裁するほどに問題は繰り返され、職場のモラルはどんどん低下していきます。「え?でも仲裁する以外にどうしろっていうの?」もしもあなたがこのように思ったなら、ここから喧嘩に対する職場の正しい対応方法を解説していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

※ブログ執筆者 AIDERS 代表 山﨑正徳のプロフィールは こちら


職場の喧嘩を仲裁する管理職の一般的な対応

職場の喧嘩を仲裁しようとする管理職は、主に次のような対応を行うことが多いです。

① まず両者の言い分を聞く。

② どちらに正当性があるかを考えて、正当性がある方の部下には「うんうん、わかるよ、私から伝えておきますから。だから今回は、これくらいにしてよ」となだめる。

③ 言い分に非がある(正当性がない)部下には、なだめながらも指摘して、わかってもらおうと関わる。

おおむねこのような流れではないでしょうか。
喧嘩の仲裁方法を解説している他の記事では、「お互いの妥協点をうまく見出す」みたいなことも書いてありました。

これらは、忙しい管理職にとってはとてもエネルギーのいる苦しい仕事でありながら、残念ながら効果の薄い対応と言えます。

なぜなら、問題の本質を大きく履き違えているからです。


正当性があるかどうかは重要ではない。

だって、彼は私が言ったことをちゃんとやってくれてないんですよ!昨日までに報告書を作っておいてほしいって、私は2回も伝えたんです。そしたら『忙しくてできなかった』と不機嫌そうに言うんですよ。ひどいですよね!だから私だってキレますよ!

喧嘩をした当事者からこんな訴えを聞いたとき、「それは確かにひどい話だ。まあ、キレてしまう気持ちはわからなくもないな」と共感することはあると思います。

ただ、ここで気を付けないといけないことは、「言い分に正当性がある」ことは、「職場で感情的に相手を責め立てること」を正当化するものではないということです。

仕事をしていれば、意見が合わないこともあるし、相手が自分の思い通りに動かずに腹を立てたり、イヤな思いをしたりすることも多々あるでしょう。

そういう時に、感情的になって相手を責め立てるようなコミュニケーションをとることが問題であり、相手もまた、そこで反撃をするから喧嘩になるのです。

だから、管理職は「キレてしまうほど腹が立った気持ち」に共感しても、決して「感情的な言動をとったこと」まで肯定してはいけません。

肯定するということは、「あなたはキレるに値することを彼からされたよね。だから仕方ないよね」と管理職が認めることです。

そうなると、部下は「次も同じことがあったらガツンとキレてやろう」と思うはずです。だから、職場の喧嘩を仲裁していると、結果として、いつまでも喧嘩が繰り返されるのです。

※関連記事:「共感」と「同調」の違いがわからないと、いくら頑張って話を聴いても相手を怒らせるだけである。


仲裁ではなく、「不満を感じた際の不適切な言動」を指導する。

確かに、彼の仕事ぶりに不満や怒りを感じるのは無理もないことだと思います。だとしても、職場であのように感情的になって声を荒げるような行為は認められません。今後は控えてください

このように、不満を感じた際の不適切な言動について指摘して改めさせます。

もう一方にも同じように伝えます。

確かに、あんな風にきつく言われたら腹も立つし、言い返したくもなるよね。でも、次からは喧嘩を買うような行為はしないで、すぐに私に伝えてください。

このようなイメージです。

このように、不満や怒りを感じた際の適切な行動を指導し、職場の秩序を保つことが管理職の役割です。

※関連記事:思い通りにならないと感情的になる部下には、「感情的になった事実」を問題として扱う。


職場の喧嘩を助長する管理職の特徴とは?

ここまで読んでいただき、いかがでしょうか。

「次からはこの対応をしよう!」と思って実行できる人もいれば、頭では理解しても、いつまでも仲裁から卒業できない人もいます。

単純なことですが、「まあまあ、あなたの気持ちはわかるよ。お互い大人なんだし…」となだめている方が、部下との関係を良好に保つことができますよね。

逆に、感情的になる行為を改めるように伝えることは、上司として部下を注意することになりますから、場合によっては部下との関係に摩擦が生じることもあるでしょう。

だから、「部下との関係を良好に保つことを最優先にする管理職」は、いつまでも仲裁に徹するのです。

そして、この管理職のスタンスが、結果として職場の喧嘩を助長していくことになります。

例えば

・モンスター社員を注意できずに野放しにした結果、我慢の限界に達した社員が反撃して喧嘩になる。

・部下同士で意見や方針が分かれた際に、管理職が何も決めない。どちらかの意見を支持して部下と摩擦が生じることを恐れ、「お互いよく話し合って決めてください」といつも話し合いを求める。


このように、管理職が役割を放棄することで社員同士の軋轢が生じやすくなり、人間関係が悪化していきます。

結果として喧嘩のようなトラブルが増え、そのたびに仲裁に奔走し、そしてまた喧嘩になる。このような悪循環に陥るのです。

うちの職場はみんな仲が悪くて大変だよ。みんなもっとお互いを尊重して、仲良くやればいいのに…

もしも管理職であるあなたがこんな風に思っているとしたら、その原因は管理職としてのあなたのスタンスが関わっているのかもしれません。

当方のモンスター社員対応セミナーでは、職場の人間関係が悪化する組織の特徴を解説しております。

ぜひ一度、職場のこと、そして管理職としての自分自身のことを振り返ってみてください。

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公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。講師としての経験も豊富で、企業や公的機関において15年以上に渡り、メンタルヘルス、ハラスメント、コミュニケーションなどをテーマに講演を行っている。
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