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うつ病を理由にやりたくない仕事を堂々と拒否する部下への対応方法

毎日忙しく働く管理職の方にとって、部下のメンタルヘルス問題はとても対応が難しく、悩ましい問題です。

私はこれまで多くの管理職の方から対応について相談を受けてきましたが、「いざ自分の部下がうつになってみると、何をどうしていいか全くわからないですね」という話は本当によく聞きます。

さらに、その部下がメンタルヘルス問題を理由に堂々と仕事を拒否するようなことがあったら、役職者としてどう対応するべきでしょうか。

今回のブログは、そのような場面で適切に対応をするためのポイントを解説しました。

まず、ある管理職の悩みを紹介します。


「やっぱり、うつ病の部下には仕事をさせてはいけないものなの?」

3ヶ月前に部下が無断欠勤をしたので注意をしたら、「私はうつ病だから連絡ができない」と謝るどころか開き直られてしまいました。

1年前からうつ病で精神科に通院中で、薬を飲んでいるとそこで初めて聞きました。とても驚きました。

困っているのは、それ以降、その部下が何かとうつ病を理由にして仕事を拒否するようになってしまったことです。

「ストレスがかかると悪くなるので」と言って、昨日は自分の番の議事録をとることを拒否しました。

忙しい月末も周りに申し訳なさそうにするわけでもなく、堂々と定時で帰っていきます。

注意したい気もちはもちろんあります。

でも、「ストレスをかけることになると良くないのでは」と思うと何も言えません。

どうしたらいいのでしょうか?

「メンタルヘルス問題を理由にやりたくない仕事を拒否する」というケースは、対応に慣れない管理職にとってはとても対応に困るでしょう。

具合が悪いならサポートはしてあげたい。もちろん、心配に感じる。

でも、それにしても、ちょっと無責任なんじゃないか?
普通はもっと周りに気を遣わないか?

でも、うつだからそんな余裕もないのかな。
ここでおれが何か言って悪くしちゃったらまずいしな。

うーん、でも、なんか腑に落ちないんだよなー。

こんな心境なのではないかと思います。

今日は、こんな時に知っておいてほしい対応の原則を説明します。


部下が「健康上の理由により、配慮を求めている」と捉える。

部下はうつ病であることを申告し、ストレスがかかると病気が悪くなるという理由から、負荷を感じる仕事を拒否しています。

「病気を理由にやりたくない仕事を拒否する」といってしまえば、まあそうなんですが、捉え方を変えましょう。

これは、「社員が健康上の理由により、業務の負荷軽減を求めている」ということです。


そのような切り口で捉えれば、そこまで難しい問題ではありません。

ちょっとここからは硬い話になりますが、お付き合いください。

まず、職場には社員の生命・身体の安全を守る義務(安全配慮義務)が課されています。

社員から健康問題について配慮を求められているなら、まずは社員の健康状態を確認する必要があります。

そして、負荷の軽減を求めている社員側にも、当然ながらそれに協力する義務があります。

「私はうつ病だからできません。お先に失礼します!」で済む話ではないのです。

職場が負荷の軽減などの対応を検討するためには、以下のような対応が望ましいです。

▶ 診断書を提出させる。
▶ 主治医と連携する。(部下の了承を得て診察に同席することができればベストです)

主治医から、病気の症状や治療内容、見通し、そして職場での必要な配慮などについて説明を受けましょう。

また、職場からも部下の職場での様子、心配に感じている点などをよく伝えることです。

もし部下が議事録や電話応対などの簡単な業務でも「ストレスがかかると悪化する」と言って拒否するなら、そもそも就労自体が可能なのか?ということも確認しなければなりません。

簡単な業務を与えただけで悪化してしまうほどの状態なら、当然ながら仕事を与えるわけにはいかなくなります。

つまり休職して治療に専念させることも考えなければならないのです。

主治医の見解を確認したら、職場としての対応を検討する必要があります。

産業医がいれば、産業医面談を行いましょう。

業務内容など、職場の事情に精通した産業医の立場から、引き続きの就労が可能なのかどうか、また必要な配慮についての意見をもらう。

その上で、職場の対応を決めていきます。


職場には「できること」と「できないこと」がある。

ここで押さえて頂きたいことは「職場にはできることとできないこと」がある、ということです。

あくまでも「職場に可能な配慮」であることが前提です。

例えば、主治医から「残業なしで負荷の軽い業務で様子を見てほしい」と言われたら、職場として配慮できる期間などを明確にしておく方がいいです。

3ヶ月なら、「3ヶ月経っても配慮が必要な状況が変わらないなら、休職して治療に専念すること」「毎月診断書を提出すること」など伝え、約束しておくのです。

こうすることでその後の対応がしやすくなりますし、病気を理由に特別扱いを続けることに対する他の社員の不満やモチベーションの低下を防ぐことができます。

職場の規模等によって配慮できる内容や期間は変わってくると思いますが、「主治医の見解に沿って、職場がきちんと検討をする」というプロセスを踏むこと。

これが大切になります。


健康上の理由で配慮を受ける社員に求められる姿勢

社員が病気を理由に職場から配慮を受ける場合、当然ながら社員自身にも責任が伴います。

早く通常の業務に戻れるように、主治医の指示に従い、必要な治療を受けること。

業務時間外の過ごし方にも気を配り、悪化するような不健康な過ごし方は避けること。

そして何より、職場や同僚への感謝の気持ちや配慮を忘れないこと。

これが原則です。

今回のケースのように、自分の権利を堂々と主張して秩序を乱すようなことがあれば、服務の問題として指摘し、行動改善を求めましょう。

主な流れを説明するとこのような対応が基本ですが、大切なのは管理職ひとりで抱え込まないことです。

人事総務担当者や産業保健スタッフなどがいれば、きちんと情報を共有し、連携して対応しましょう。

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公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。講師としての経験も豊富で、企業や公的機関において15年以上に渡り、メンタルヘルス、ハラスメント、コミュニケーションなどをテーマに講演を行っている。
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