「意見が合わないとすぐに反抗的になり、感情的な態度をとる部下への対応で困っている」
「すぐに威圧的な態度をとる部下へのマネジメントがうまくいかずに、ストレスが溜まっている」
このように、感情的になる部下への対応で困っている役職者の方からの相談を、これまで多く受けてきています。
今回は、そのような「感情的になる部下」への対応で、管理職が陥りやすい対応の落とし穴と、常に心掛けてほしい心構えについて解説をします。
まず、管理職の方から寄せられた相談を紹介いたします。
※ブログ執筆者 AIDERS 代表 山﨑正徳のプロフィールは こちら
目次
「なにを言っても納得してくれなくて、怖いし、疲れました…」
職場に、思い通りにならないとすぐにムキになって威圧的な言動をする部下がいるんです。
5年前に中途で入ったんですけど、この業界での経験はそれなりにあるし、当初は真面目だったし、すごくいい子が入ったなと思っていたんですよ。
でも、2年目くらいからハッキリと自己主張するようになって、言い方がきついんです。
最近は仕事を頼むとすごくイヤそうな表情をして、機嫌が悪くなります。
後輩に対しても厳しくて、すごく怖がられています。
この前、後輩の子が仕事でミスをしたんですけど、その時もすごい剣幕で注意していました。
「なにやってんの!?」「おかげで私の仕事が増えたじゃない!」とみんなの前ですごく怒って。
怒られた子はもう泣きそうでした。
それで、私が止めに入ったら「ちゃんと指導してくださいよ!」と私にもキレてきたんです。
私は「ミスは誰にでもある」「指導はちゃんとしているから」と伝えたんですけど、それでもわかってくれなくて、それから2~3日くらいは不機嫌でした。
とにかく、怖いんですよ、ほんとうに…。
どう対応すべきか、とても悩んでいます。
管理職にとっては、とても辛く苦しい悩みだと思います。
部下にはきちんと働いてほしい。
そして、上司として、できるだけ良い関係を築きたい。
だけど、こうやって自分にとって都合の悪い状況になるたびに感情的になられては、どうやって対応してよいのかわからなくなりますよね。
ガツンと言って関係を壊すと働きづらくなるし、「パワハラですよ」なんて逆に訴えられてしまうかもしれない。
でも、だからといって、何もしないで要求に応じ続けるのもどうかと思うし…
悩ましいですよね。
ここから、この問題についての考え方や対応方法などを詳しく解説していきます。
感情で人をコントロールする行為は、癖になりやすい。
「彼女は今は忙しくて余裕がなくて、それで一時的に感情的になっているだけだろう」
「次年度は担当を変えて少し楽な仕事にすれば、よくなるはず」
このように、「相手が変わることを期待して、特に何も対応せずに様子を見る」というやり方を選択することも多いのではないかと思いますが、この方法はうまくいかないし、結果的により悪化するというケースは珍しくありません。
なぜなら、「感情で人をコントロールするという方法」はとても手っ取り早くて、癖になりやすいからです。
自分の感情を出して強く主張をすれば、周りが怖がって自分の要求をきいてくれる。
これは、イヤな仕事や面倒なストレスを回避するには、楽で便利なやり方ですよね。
大前提として、人間はとても弱い生き物であり、ついつい楽な方に引っ張られてしまうんですよね。
だから、感情的になっても誰からも注意されず、怖がられ、周りが自分の要求をきいてくれる環境を整えてしまうと、本人の行動は改まるどころか、「感情という武器」を振りかざしてどんどんエスカレートしてしまうことはよくあることなのです。
つまり、「少し様子を見よう」という対応はリスクを高めるだけで、お勧めはできません。
できるだけ早めに対応をする必要があることをご理解ください。
不満を伝えるために、感情的になる必要はない。
次に、コミュニケーションの基本的な話からさせていただきます。
それは、「不満を伝えるために、わざわざ感情的になる必要はない」ということです。
言い方を変えれば、不満は、感情的にならなくても相手に伝えることができます。
「私は〇〇さんのミスが多いことをとても不満に思っています」
「私は、若い子たちのミスが多いことは、課長の指導が足りないからではないかと思って、不満に感じています」
不満だということを相手に伝えるだけであれば、このようなセリフを、落ち着いて普通に伝えれば良いだけです。
決して毎回感情的になる必要はないし、ましてや相手に脅威を与える必要もないのです。
役職者として、この基本を押さえて、部下の問題行動に対応する必要があります。
相手の怒りを収めるための説得がうまくいかない理由。
次に、このような感情的になる部下への対応方法として、多くの役職者が陥りやすい「うまくいかない対応」について説明します。
それは、「部下が怒っている内容について一生懸命に説明して、なんとかわかってもらう、怒りを収めてもらう」というやり方です。
今回紹介した相談も同様に、同僚のミスにキレて「指導不足だ」と上司を責める部下を、上司が一生懸命にわかってもらおうと説明しています。
「ミスは誰にでもある」「指導はちゃんとしているから」
確かに、目の前で怒っている人がいれば、なんとかわかってもらおうと働きかける気持ちはご尤もなこととは思います。
でも、ほとんどのケースがこれでうまくいきません。
毎回毎回時間をかけて説明して、その繰り返しで、部下は行動を改めないし、また何かあれば同じように怒ります。
そうですよね?
とても一生懸命に対応をされているとは思いますし、私はそれが無駄だとは思いません。
ただ、「問題をはき違えてしまっている」と思うのです。
繰り返しますが、このようなケースでまず改めてほしいことは「不満に感じた事実」ではなく、「不満を伝える手段」なのです。
つまり、「不満に感じた内容」を扱うのではなく、「部下が不満を伝える手段」を問題にする必要があります。
不満を感じても、安全なコミュニケーションをとるように指導する。
「不満に感じていることはよくわかりました。でも、職場で感情的になる行為は慎んでください。不満なことがあれば、普通に『不満です』と伝えてください」
「これでは安全は話し合いができないし、伝えたいことが伝えられません。安全を脅かす行為はとにかく慎んでください」
このように、相手に不満を伝える際には、感情的にならずに、職場の秩序を乱すことなく、安全なコミュニケーションをとるように明確に指導する。
これが大原則です。
また、相手の感情的な言動に脅威を感じたら、その場で自分の気持ちを「私」を主語に伝えることも有効です。
「今、私はとても怖く感じて、苦しいです」
すぐに感情的になって要求を通す人は、その分たくさん人間関係を壊してきているので、自分でもいけないことをしているという自覚を持っている人はけっこういます。
でも、癖になるとなかなかやめられないし、周りからハッキリと言われていないし、表面的にはみんな普通に対応してくれるしで、ついつい繰り返してしまうんですよね。
だから、「怖いです」「辛いです」と面と向かって言われるのは、自覚があるだけに、本人にとっては一番言われたくないことでもあるのです。自分はみんなから怖がられているんだ、とわかるのはショックですからね。
このように、はっきりと伝えてあげるだけで行動が改まったというケースはたくさんありますから、部下のことを本当に思うなら、伝えないで放置するよりもちゃんと伝えてあげることが大切です。
注意点としては、「(あなたは)どうしてそうやって怒るんですか!?」と相手を主語にすると、相手は責められていると感じてさらに関係が壊れてしまうこともありますから、きちんと「私」を主語にしましょう。
あとは、言うまでもなく、部下の人間性を尊重して伝えることが大前提です。
より詳しく学びたい方は、ぜひ以下の関連記事を読んでみてください。うまくいくことを願っています!
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