ブログ

パワハラで休職した人がなかなか復職できない理由は、「職場に安全を感じていないから」

普段、休職中の方から様々なご相談を受けていますが、パワハラが原因で休職をした人から

「半年たってもなかなか良くならない」
「普段は平気なんだけど、復職のことを考えると眠れなくなったり、胸が苦しくなったりして辛い」

といったご相談を受けることが多いため、今回は「パワハラで休職をして、なかなか復職できずに苦しい思いをしている人」に向けて、記事を書いてみます。

とても大切な話をしますので、ぜひ読んでみてください。


だいぶ良くなったと思うけど、仕事のことを考えると急に具合が悪くなる…。

「仕事のことを考えなければ普通に生活できています。でも、そろそろ戻らないといけないなー、なんて思うと急に怖くなって緊張感が強くなって、胸のあたりが苦しくなるんです」

「もう半年も休んでるのに、未だにパワハラを受けた時のことを思い出すと涙が出てきて。こんなんじゃダメですね。主治医からは『どうしますか?戻りますか?』と聴かれるんですけど、正直自信がなくて。でも、かといっていつまでも逃げていてはいけませんよね。このままダラダラ過ごしていても解決しないし時間が経つだけ。だから、覚悟を決めて戻るしかないと思ってます。でも、怖くて…。みんなどうしてるんですか?」

これは、パワハラが原因で休職している人からよく伺うお話です。

あなたもそうではないですか?休職する前、あなたは本当に限界でした。

毎日のように厳しい叱責を受け、人間性を否定され、他の管理職は助けてくれなくて周囲の同僚が声をかけてくれたので何とかやってこれたものの、あなたは本当に孤独で、毎日が戦いだったはずです。

食事も喉を通らず、布団に入っても寝れないし、寝てもすぐに目が覚めるの繰り返し。

それでも、なんとか頑張って会社に行きました。本当にすごいことです。

でも、そんなあなたに対して、上司はさらに追い込むような言動を続けます。やってもやってもダメ。

あなたはそんな中、本当に最後までよく働きました。

休職に入り、初めは罪悪感と自責で本当にきつかった。

でも、家にいればパワハラを受けることはない。
ひとまず早く戻れるように、休もう。

先生に相談して、薬を飲んで、そうやって休職中もがんばってきました。

そうですよね。それにより、ようやく普通に眠れて、テレビを見て楽しんだり、友達に会ったりできるようになり気づけば休職して6カ月。

そろそろ復職かな?先生も「そろそろいいんじゃないかな」なんて言ってるし。

もう戻るしかないかなそんなことを考えるあなたですが、ここで決まって苦痛の波に襲われます。

当時の記憶が蘇り、動悸がして、怖くなりその日は当時の嫌な夢を見たり眠れなかったり本当に苦しく不安になりますよね。

「そろそろ戻らないと」「いつまでも休むわけにいかない」

一方で、「怖い」「不安」「辛い」相反する二つの気持ちに振り回され、あなたはどうしていいのかわからず、途方に暮れてしまう。

きっと、今のあなたはそんな状態ではないでしょうか。

まず、今のあなたは本当にがんばっています。
そのような葛藤を抱えながら生活するのは、本当に孤独で心が休まりません。

「こうなったらがんばって復職するしかないですよね?」
こんな疑問を抱えるあなたに伝えたいです。

今、あなたに必要なのは「自分を奮い立たせて復職する勇気」ではない。

本当に大切なのは、「安全に復職するための正しい知識と行動」なのです。


ここから、あなたが安全に復職をするための具体的な話をしていきます。


「安全を感じられない場所」に戻ろうとすれば、人は強い恐怖や不安に襲われる。

これまで多くの休職者の相談を受けてきて「休職が長引く人」の特徴として、私が感じるものを2つ挙げます。

1つは、単純なことですが「うつ病が治っていない人」。

これは、休職に至るまでに無理を重ねた期間が長く、心身ともに相当に疲弊して休職に入った人や、家族関係が悪いなどしてなかなか自宅で気が休まらずに回復が遅れてしまう人などが当てはまります。

当然ですが、復職のためには、十分な休養、服薬、あとは必要に応じて治療に専念できる環境を整える必要があり、入院や実家での療養なども選択肢に入ります。

そして、2つ目。

それは、「職場に対する安全を感じることができていない人」です。

つまり、今のあなたのことです。

これは単純なことなので、想像してみてください。

海外の紛争地域から逃げ延びて、一時的に安全な日本で休息している人が、再び紛争地域に戻ることを考えると怖くなって動悸がして、緊張して夜眠れなくなる。

普段の生活も、「いつかはあそこに戻らなければならない」と頭の片隅にあるだけで、少なからず緊張感のある生活になります。

一方で、もうそこに戻ることはないとわかっていればどうでしょうか。

休息期間ものんびりリラックスして過ごせるし、体調が良くなれば 「今の生活も飽きたな。そろそろ仕事したいな」という意欲も戻りやすくなります。

こう考えると、「安全を感じていないから復職ができない」というのは、とても自然なことだと思いませんか?
きっとあなたも薄々気づいているのではないでしょうか。

ただ今のまま休んでいるだけでは、恐怖や不安、緊張感が拭えないだろうことを。
今より長く休んだからと言って、復職を考えた時の反応が治まるわけではないことを。


だからこそ、「もう戻るしかない!」と思いますよね。
それはとても自然なことですが、安全を感じていないのですから、それはあなたにとって相当に高いハードルになります。

そんな高いハードルに、賭けで挑むのは危険です。
それよりもあなたが今、取り組むべきことがあります。

それは、その高い高い復職のハードルを、少しでも低く感じられるようにすることです。


復職後の環境や業務内容について、職場と話し合ってみる。

それでは、復職のハードルを少しでも下げるためには、何をすべきなのでしょうか。
これを説明していきます。

大前提は「きちんと通院して治療に専念すること」ですが、それはすでに取り組んでいるでしょうから、ここでは通院と服薬以外の話をします。

それは、復職後の環境について職場に相談し、安全を感じられる具体的なイメージを持つことです。

まず、原則から伝えると、休職者は復職可能な状態になって(見通しが立って)主治医に診断書を書いてもらい、そこから職場と具体的に復職に向けての話し合いをします。

そこで休職者の希望、主治医や産業医の判断などから職場が復帰後の配置や業務を検討するわけです。

あなたもきっと職場から言われてますよね?
「体調が良くなって復帰できそうになったら診断書をもらって、連絡してください」と。

このやり方が一般的ではありますが、「パワハラで休職をして職場に安全を感じていない人」の場合は、少し変則的なやり方をした方が復職が早まりやすいというのが私の印象です。

それは、復職の見通しが立つよりも前の段階で、先に復職後の「安全な環境」を整えてもらうことです。

例えば

  • 休職した時点で、部長から「復職したらもうあの課長の下にはつけないから、ちゃんと休んで、安心して戻って来てくれ」と言われた。
  • 休職中に産業医面談を何度か受け、産業医の勧めで、復帰後は人事部に異動になり簡単な業務から始めることを伝えられた。
  • 相談できる役員に連絡をとり相談したところ、「異動できるように、おれから人事に働きかけてみるよ」と言ってくれた。

これらは実際にあった話です。
ご自分に置き換えて考えてみてください。

このように安全な環境を保証してもらえるだけで、だいぶ復帰へのハードルが下がる感じがしませんか?

もちろん、会社によってできることとできないことがありますから、このような変則的な対応ができない職場は当然あるでしょう。

民間はこういうのをけっこう柔軟にやってくれる会社は多いですが、公務員の職場は「現職に復帰」と定められてることがとても多いですから、なかなか困難です。

また、あくまでも口約束ですから、職場の事情によって変更になったり、休職期間が見通しより延びることで部署の受け入れが難しくなるなんてこともあるはずです。

ただ、もし今あなたが、ただただ不安や恐怖がなくなることを待って自宅で過ごすことしかしていないのであれば、あなたにできることはまだ残っていることを知ってください。

ダメ元でも、一度は会社に打診してみる。

人事や産業医、保健師などに相談してみる。
協力してくれそうな役員や管理職がいれば思い切って話してみる。

実際に、このような取り組みを行うことで、復職のハードルを下げることができる人もいるのです。

注意点としては、会社とそのような話をすることはけっこうな体力を使いますから、それなりに体調が良くなっていることが大前提です。

必ず事前に主治医に相談をして、了承を得て行うようにしてください。


パワハラ上司のターゲットになりやすいあなたが休職中に取り組むべきこと。

また、パワハラで休職をした人の相談を受けていると、「もともとパワハラの被害に遭いやすい」「攻撃的な人のターゲットになりやすい」という方にも多く出会います。

あなたにもそんな傾向がありませんか?例えば、以下の7つから、あなたに当てはまるものがいくつあるか点検してみてください。

  1. 自分が悪くないのにすぐに謝る。
  2. 相手の顔色が気になり、言いたいことを我慢する。
  3. 「どうしたいか」よりも「どうすべきか」を考えて行動してしまう癖がある。
  4. 相手が不機嫌だと、自分が何かしてしまったのではないかと不安になる。
  5. 理不尽なことで責められると、「どうせ何を言っても無駄」と考えて何も主張せずにただ耐える。
  6. パワハラを受けると「確かに言い方はきついんだけど、言われていること自体は間違っていないから」と考えて自分を納得させる。
  7. パワハラをする人に対して、怒りや不満よりも、恐怖や自責感が勝る。

もし4つ以上当てはまる場合、あなたは「性格的に人間関係に無力感や不全感を感じやすく、高圧的な人からコントロールを受けやすい」傾向があります。

実際に、あなたはいくら理不尽なことを言われても、不満そうな態度を出さず、ただただ相手の怒りが静まるのを待つことしかできなかったのではないでしょうか。(パワハラを受けるのはあなたに問題があるから、という意味では決してありません)

そして、今も色々と思うことがありながらも、「どうせ何を言ってもダメ」「確かにパワハラはひどかったけど、耐えられなかった自分は弱い」「復職についての希望を言う権利なんて自分にはない」などと考え、会社に対して何も主張せず、無力感に苛まれていませんか?

だとしたら、復職のハードルを無意識に上げてしまっているのはあなた自身でもあるのです。

だからこそ、あなたに取り組んでほしいもう一つのことは、「人間関係に対する無力感や不全感の克服」です。

例えば、会社に復職後の環境について自分から相談をしてみるという行動自体も、無力感を払拭して主体的な行動をとれるようになるためのリハビリになります。

「言ってみるもんだな」という感覚を得ることはとても大切で、更なる次の行動を起こすモチベーションにつながるのです。

今後再びパワハラを受けるようなことがあっても、今までなら「耐えるだけ」だったところが、「人事に相談してみようかな」「怖いからやめてほしいと伝えてみようかな」などと考えるようになり、選択肢が増えます。

つまり、この休職中の過ごし方次第で、あなたは変わることができるのです。

ぜひ、この休職を「あの時休めたから今の自分がある」と思えるポジティブな経験に変えませんか?

カウンセリングでは、あなたの課題を一緒に整理し、復職に向けて少しでも有効な取り組みを考えさせて頂きます。
お気軽にご連絡ください。いつでもお手伝いをさせて頂きます。

個人カウンセリングのお申し込みはこちらからお願いいたします。

The following two tabs change content below.
公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。講師としての経験も豊富で、企業や公的機関において15年以上に渡り、メンタルヘルス、ハラスメント、コミュニケーションなどをテーマに講演を行っている。
PAGE TOP