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「感情的になる部下」を指導してもうまくいかない理由は、「問題のすり替え」に巻き込まれるから!

職場で思い通りにならないと、毎回感情的になって要求を通そうと強く主張したり、明らかに何か言いたげな態度でこちらに不満を表明したりするなど、困った部下への対応で毎日ストレスを感じている管理職の方のご相談を、日々受けています。

思い通りにならないと感情的になる人への対応の基本は、以下のブログ記事で説明した通り、「感情的になった事実を問題として扱うこと」です。

思い通りにならないと感情的になる部下には、「感情的になった事実」を問題として扱う。

ただ、いざ部下に対応をしてみたもののなかなか思うようにいかず、より関係が悪化してしまったというお話もよく伺います。

対応がうまくいかない場合のパターンはいくつかあるのですが、今日はその中でも最も典型的な「問題のすり替え」と、その対応方法について解説したいと思います。ぜひ最後まで読んでみてください。

まず、部下の「問題のすり替え」に巻き込まれてしまう上司と部下のやりとりを紹介します。


「問題のすり替え」とは?

課長「Aさん、前から心配に感じていたんだけど、仕事中にすごく感情的になるよね。正直、怖いと感じることは多いし、Aさんにとっても仕事がしづらくなるから、なんとか改善してほしいと思ってるんだよ。どうですか?」

課長がこう切り出すと、Aさんは不満そうな反応を見せました。

Aさん「そんなこと言われても、私は悪くないですよ!怒らせる方に原因があると思いませんか?」

課長「そんなに怒らせるようなことしてますか?」

Aさん「してますよ!若い子たちは、ミスしても謝れば何とかなると思ってるし、甘いんですよ」

課長「そんなことないよ。みんな、ミスをしたことは悪いと思ってるよ、いい加減に働いてるわけじゃないよ」

Aさん「どうしてそう言い切れるんですか?課長だって、この1ヶ月は出張ばかりでちゃんと見てないじゃないですか!」

課長「え?…まあ、居なかったけど…」

Aさん「じゃあわからないですよ。私がどれだけあの子たちにイライラさせられてるか」

課長「そんなに居なかったわけじゃないですよ、ちゃんと把握してるつもりですよ」

Aさん「つもりってなんですか?私は課長がちゃんと指導しないから、こんなに苦労してるんじゃないですか!それを私の問題だなんて、おかしいですよ!」

課長「いやいや、ちょっと待ってよ。Aさんの問題だなんて、そんな言い方してないでしょ?」

Aさん「そういう言い方をしましたよ。私が悪いんですよね?」

課長「そんなこと言ってないでしょ?」

Aさん「言いましたよ!」

ここまで、上司と部下のやりとりを見て、あなたはどう感じますか?

すでに部下による「問題のすり替え」は起きていて、そこに上司が巻き込まれています。

整理すると、両者の主張は以下のようになります。

・上司は、部下に対して、感情的になる言動を改めてほしいと思っている。

・部下は、自分を怒らせているのは若い子たちが至らないからであり、課長の指導不足だと思っている。つまり、「私を怒らせたくないなら、周りが変わるべきだ」と主張している。


この部下の訴えが、いわゆる「問題のすり替え」です。

しかもAさんは、この課長とのやりとりの時もすでに感情的になっていますよね。

課長が改めてほしいのは、今まさに目の前で起きているAさんのコミュニケーションなのです。

だからこそ軸をぶらさずに対応する必要がありますが、これが実際はなかなか難しいのです。

この問題のすり替えに巻き込まれてしまうと、今回の課長のように、部下の訴えに対して一生懸命に弁明して「なんとかわかってもらおう」と関わります。

結果、相手の土俵に引きずり込まれ、責め立てられてしまい話は終了です。

あなたも、毎回このようなパターンに陥って苦しんでいませんか。

ここから、「問題のすり替え」への対応のポイントを解説していきます。


「問題のすり替え」に巻き込まれないためのポイント

問題のすり替えに巻き込まれないために大切なのは、指導の軸を明確にすることです。

今回、部下に改めてほしい行動は「どんな理由があっても、職場の風紀を乱す感情的な言動は慎んでほしい」ということですよね。

ここの軸を明確にした上で、次の二つを押さえて関わってください。

① 相手の主張に過剰に反応して反論すると、相手の土俵に上がり巻き込まれることになる。

② やりとりをしている時に相手が感情的になったら、今起きていることを問題として扱う。「怖い」「安全な話し合いができない」と伝え、改善を求める。


ここから、これらのポイントを押さえた適切な対応例を紹介しますね。

課長「Aさん、前から心配に感じていたんだけど、仕事中にすごく感情的になるよね。正直、怖いと感じることは多いし、Aさんにとっても仕事がしづらくなるから、なんとか改善してほしいと思ってるんだよ。どうですか?」

Aさん「そんなこと言われても、私は悪くないですよ!怒らせる方に原因があると思いませんか?」

課長「そんなに怒らせるようなことしてますか?」

Aさん「してますよ!若い子たちは、ミスしても謝れば何とかなると思ってるし、甘いんですよ」

課長「そうですか…他に何か思うことがあれば聞かせてください」

Aさん「課長だって、出張でほとんどいないじゃないですか!ちゃんと見ててくださいよ」

課長「確かに、最近出張多かったですね。みんなには迷惑かけてるなと思います」

Aさん「ほんとですよ。少しはこっちの身になってくださいよ」

課長「Aさん、気持ちはよくわかったよ。でもね、仕事してれば、ミスをする人だっているし、出張で上司がいないことだってあるよね?」

Aさん「それを何とかしてほしいんですよ」

課長「思うようにいかないことがあって、それは職場として配慮が足りないこともあるかもしれないよ。でもね、だからといってその度に声を荒げて怒るという行為は、職場では認められないですよ。それを改善してほしいんですよ」

Aさん「だから、若い子たちを何とかしてくださいよ!」

課長「それと怒ることは別だと言ってるんですよ。今もそうですが、あなたはすごく怒ってるように感じます。冷静に話せませんか?」

Aさん「こんな話をされたら、冷静になれませんよ」

課長「それを改善してほしいんですよ。できないというと、そういう評価をせざるを得ないんですよ。今後も続くとなると、服務の規程にも触れちゃうし、人事も交えて話をせざるを得ないんですよ。Aさん、僕たちはそこまでしたくないし、心配に思って話しているんですよ。わかってもらえないかなー」

Aさん「・・・・・・」

このように、「どんな理由があっても、職場の風紀を乱す感情的な言動は慎んでほしい」という軸をぶらさずに、相手の主張に過度に反応せずに対応をしていきましょう。

とは言っても、なかなか上手に対応ができないという方は、指導者側が二人で対応をすることもお勧めです。

どちらかが巻き込まれても、もう一人がそれに気づいて話をもとに戻せば問題ないですからね。

今回はここまでです。

これからもこのような記事を増やしていきますので、ぜひ役立てて頂けたら嬉しく思います。

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公認心理師・精神保健福祉士。精神科・EAP機関・カウンセリングルーム・学校などで、2万件以上の相談を受けてきたカウンセラー。講師としての経験も豊富で、企業や公的機関において15年以上に渡り、メンタルヘルス、ハラスメント、コミュニケーションなどをテーマに講演を行っている。
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